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映画『犬神家の一族』や『セーラー服と機関銃』を筆頭に、1970年代から80年代にかけて娯楽映画の見かた・あり方を変えてきた革命的プロデューサー・角川春樹。製作者としてのみならず映画監督という顔も持つ御年78歳の角川春樹が、前作から約10年ぶり8本目の監督作にして“生涯最後の映画監督作”を完成させた。それが、万物の原点である食をテーマにした『みをつくし料理帖』だ。

原作は、作家・髙田郁による累計発行部数400万部突破のベストセラー時代小説シリーズ。これまで北川景子主演のスペシャルドラマや黒木華主演の連続ドラマが製作されてきたが、劇場版映画は今回が初めて。原作小説が誕生した瞬間からその温もりに満ちた人情物語に惚れ込んでいた角川がプロデュースのみならず、自らメガフォンを取った。全10巻と特別編のある長大な原作の中から第3巻までのストーリーをメインに抽出し、登場する料理同様に真心のこもった人間ドラマを紡ぎあげた。2019年8月にクランクイン。栃木県にある江戸ワンダーランド日光江戸村および都内スタジオを使用して、21日にわたる丁寧かつ贅沢な撮影を敢行した。

時代は享和二年の大坂。暮らし向きは違えども8歳の澪と野江は、まるで姉妹のように仲の良い幼なじみだった。「何があってもずっと一緒や」。しかしそんな二人が暮らす大坂を大洪水が襲い、澪と野江は生き別れてしまう。それから10年後。大洪水で両親を亡くした澪は引き取られ、江戸の神田にある蕎麦処「つる家」で女料理人に。野江は吉原にある遊郭に買い受けられ、幻の花魁・あさひ太夫と名乗っていた。澪が苦心して生み出した料理が、別々の人生を歩む2人を再び引き寄せていく。

名作・話題作のみならず、多くのスターを輩出してきた角川春樹が“生涯最後の映画監督作”で主演に抜擢したのは、今最も波に乗る若手女優の松本穂香。江戸・神田にある蕎麦処「つる家」で働く女料理人・澪を演じる。TBS系連続ドラマ『この世界の片隅に』での演技と、紀行番組『世界ウルルン滞在記』での自然体の姿に惚れ込んだ角川春樹の期待に応えるべく、松本穂香は撮影前に料理修行に励んだ。そのひたむきさは料理と真摯に向き合う澪そのもので、違和感なくキャラクターに息を吹き込んでいる。

澪と離れ離れになってしまった幼なじみの野江を演じるのは、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』で注目を集めた女優の奈緒。澪にとっての無邪気な幼馴染・野江と吉原で頂点を極めるあさひ太夫というコントラストをさりげないしぐさや表情で情感たっぷりに演じている。澪と野江を繋ぐ橋渡し的存在になる又次を演じるのは、『男たちの大和/YAMATO』でも存在感を発揮した歌舞伎俳優の中村獅童。あさひ太夫を守るためならば命も惜しまない無骨さを見せる一方で、澪と野江の再会のために一肌脱ぐ情に厚い一面を見せる。

かつての角川映画に出演した豪華面々も、“生涯最後の映画監督作”に花を添えるべく大集結。『犬神家の一族』で金田一耕助という当たり役を得た石坂浩二が、蕎麦処「つる家」の主人・種市を好演。澪が“ご寮さん”と慕う元天満一兆庵の女将・芳を『蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜』の若村麻由美が演じ、おせっかいな長屋の隣人・おりょうを『スローなブギにしてくれ』で主演デビューした浅野温子が務める。そして角川映画が生んだトップ女優の一人である薬師丸ひろ子が「つる家」の常連客で澪を気にかけるお百役で、さらに薬師丸とともに“角川三人娘”の一人として角川映画を背負う存在となった渡辺典子が特別出演を果たす。そのほか榎木孝明、鹿賀丈史、野村宏伸、永島敏行、松山ケンイチ、反町隆史ら角川映画常連組が駆け付けた。

角川組初参加の顔ぶれも主演級の俳優陣が揃った。澪に気づきを与える御膳奉行・小松原を窪塚洋介、あさひ太夫の正体を暴こうとする戯作者を藤井隆、神田の町医者を小関裕太、吉原の遊女を元乃木坂46の衛藤美彩、あさひ太夫の秘密を握る男を村上淳が演じる。

「食は人の天なり」。角川春樹監督作史上、最も愛らしく、優しく、涙なしでは見られない人情噺。原作誕生10年を経て新たな時代に贈る温もりと感動を、冷めないうちに召し上がれ。

ストーリー ストーリー

享和二年の大坂。8歳の澪と野江は、暮らし向きは違えどもまるで姉妹のように仲が良かった。ところが大坂の町を襲った大洪水で、二人の仲は無残にも引き裂かれてしまう。両親を失った澪は偶然通りかかった天満一兆庵の女将・芳(若村麻由美)に拾われるが、野江の消息はわからずじまい。それから10年の月日が経った。

江戸・神田にある蕎麦処「つる家」で女料理人として働く澪(松本穂香)は悩んでいた。店に雇われて三カ月目にして、初めて振舞った深川牡蠣の鍋料理。大坂出身の澪にとっては上方ならではの極上の味のはず。しかし江戸では殻ごと七輪で焼くのが基本。客からは不評を買ってしまう。

料理作りに試行錯誤する澪は、神田の町医者・永田源斉(小関裕太)から、江戸の料理の味が濃いのは大工などの職人が多いことが理由であることを聞き、「食は人の天なり」という言葉を知る。澪は気持ちを変えて江戸の味に合わせた料理を作り、常連客からは太鼓判を押されるが、どこか納得のいかない自分もいた。常連客で御膳奉行の小松原(窪塚洋介)はその心を見破り「料理の基本がなっていない」と一喝する。

スランプに陥った澪を見かねた町医者の永田は、吉原で行われる祭りに澪を連れ出す。祭りの出し物では、吉原の遊女たちが白狐の仮面をかぶった舞を踊り、見物客たちを楽しませていた。そこで澪は、吉原が作り上げた幻の花魁とも呼ばれるあさひ太夫の存在を知る。

吉原で食べた酢醤油の心太からヒントを得た澪は、「つる家」で江戸流と上方流を掛け合わせた心太を作り、店を繁盛させる。意外な形で店を切り盛りする澪の姿に手応えを得た店の主・種市(石坂浩二)は、澪に店を継いでほしいと打ち明ける。

種市の気持ちに応えるべく、澪はいまだ“ご寮さん”と慕う芳の協力を得ながら、不眠不休で理想の出汁を生み出した。その出汁で作ったのが、今はなき天満一兆庵で評判だった品「とろとろ茶碗蒸し」。その美味さは江戸中を魅了し、店はいまだかつてない活気を見せる。

そんな中、澪のもとを怪しげな影をまとった男が訪ねてくる。店の評判を聞きつけて「ある方の故郷をしのぶよすがに」と茶碗蒸しを求めてきた。そのある方とは、幻の花魁・あさひ太夫。男はあさひ太夫のいる遊郭・扇谷で料理番をしている又次(中村獅童)だった。

又次から上方の思い出話を求められた澪は、幼なじみの野江との話を聞かせる。大坂の新町廓にある花の井に下駄を誤って落としてしまったこと。すかさず野江が自らの下駄を落として「怒られるんも、罰当たるんも一緒や」と言ってくれたことを。

あさひ太夫のもとに茶碗蒸しを届けた又次は、土産話に澪から聞いた花の井の話をする。その話を聞いたあさひ太夫は言葉を失う。困っていた幼なじみを勇気づけるために花の井に下駄を落としたのは幼き頃の自分。あさひ太夫こそ、澪の生き別れた幼なじみの野江(奈緒)だった。

キャスト&スタッフ キャスト&スタッフ

キャスト キャスト

  • 松本穂香
  • 奈緒
  • 若村麻由美
  • 浅野温子
  • 窪塚洋介
  • 小関裕太
  • 永島敏行
  • 藤井 隆
  • 野村宏伸
  • 衛藤美彩
  • 渡辺典子
  • 反町隆史
  • 榎木孝明
  • 鹿賀丈史
  • 薬師丸ひろ子
  • 石坂浩二(特別出演)
  • 中村獅童

スタッフ スタッフ

  • 製作・監督:角川春樹
  • 原作:髙田 郁「みをつくし料理帖」(角川春樹事務所)
  • 主題歌:手嶌 葵「散りてなお」
  • 作詞・作曲:松任谷由実
  • 編曲:松任谷正隆(ビクターエンタテインメント)
  • 脚本:江良 至、松井香奈、角川春樹