映画『カメラを止めるな!』特集

『カメラを止めるな!』配信記念 上田慎一郎監督インタビュー!

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監督インタビュー《前編》 笑える! 泣ける! 元気になる!200万人を動員した『カメ止め』の魅力とは?

一般公開開始から5ヵ月を経て、なおファンを増やしつつある映画『カメラを止めるな!』。その人気作がゲオTVでもついに配信開始!ということで、監督の上田慎一郎氏にお話を伺ってみた。

──『カメラを止めるな!』は、前半がゾンビ映画、後半がその舞台裏を描くという構造ですが、題材を「ゾンビ映画」にされた理由は? 途中で出てくる劇中作のロゴ『ONE CUT OF THE DEAD』が、名作『ザ・ナイト・オブ・リビングデッド』のオマージュだったりしますし、ゾンビ映画がお好きだったりするのでしょうか?

上田慎一郎監督(以下、上田) ゾンビ映画にした理由は大きく分けてふたつあるんですが、まず首が取れたり腕がちぎれたり血がビシャッとかかったり、そういう仕掛けが舞台裏のドタバタを描くときに舞台装置として必要だったというのがひとつ。あと、ホラー映画やゾンビ映画とかを作っている人たちって、現場ではキャッキャいいながら撮ってるイメージがありまして(笑)。実際にそういう現場も見ていますし、もうなんか、大の大人が楽しそうにキャッキャ言いながら制作しているという感じがボクは好きで、今回のような制作風景を描く映画を作るときにゾンビ映画っていいなと思ったのがひとつあると思います。

──難しい37分ワンカット撮影に挑戦しようと思われた理由は?

上田 そもそも「ワンカットの舞台裏を描く」という内容の映画なので、理由としては「そういう話を作ろうと思ったから」ですけれど、ただまあ“難しかったから”やったという感じですね。途中でつなげたりしてワンカット風に仕上げることもできるんですけれど、ガチのワンカットで撮ってるんですよ。それはやっぱり“難しいから”、“手が届くかどうかわからない挑戦だから”こそ、燃えられるからやったということですね。また37分ワンカットのゾンビサバイバルというのを、低予算でまだ若いキャストとスタッフとで撮ったときに、ぜったい「ほころび」や「ほつれ」というものが出てくると思ったんですよ。その「ほつれ」や「ほころび」もろともに取り込んだライブ感のある、二度と取れない37分を作りたいなという気持ちもありました。

──映画の中では思いがけない出来事がいろいろ起こりますが、何よりの思いがけないことは、この映画の大ヒットかと思います。観客の手応えは初公開時から感じていらっしゃったと思いますが、「これはヤバくなってきたぞ?」と思われたタイミングは?

上田 この規模の予算感で作るインディーズ映画って、だいたいが公開期間2~3週間、東京の1館でレイトショー1回ずつ、というのが多かったりするんです。でもこの映画の場合はイベント上映の評判を受けて、最初から都内2館で、しかも1館は1日3回上映でやると。インディーズ映画にしてはメディアもけっこう取り上げてくれて、異例の盛り上がりの中で公開に突入はしたんですよ。ただ、ここまでのことになるとはもちろん思っていなくて、“インディーズ映画の”ヒットを目指そうと思っていたので最終動員数5,000人を目標にしていたんですよ。5,000人というのはこの規模のインディーズ映画にしては結構高いハードルなんですけど、ちょっと前(10月20日時点)に200万人を超えて。なんていうんですかね……いまの上映館数が300館とか、観客200万人動員とか、数字だけ聞くと実感しづらいんですけど、公開2週目か3週目になったときに、インディーズ映画を見る層じゃない一般の若い人や女性がどんどん増えてきたのも「おー!」って思いました。街でふいに「カメ止めTシャツ」を着た人とすれ違ったりとか、カフェに行ったら隣のカップルが『カメラを止めるな』のことを話していたりとか、『カメラを止めるな』の半券が地面に落ちてたりとか、なんかこう生活の中に不意に『カメラを止めるな』が現れたときに、「あー、これはエライことになってきたな」というのは感じたと思います。

──いまもリピーター続出で、笑って泣けるという感想がたくさん来ているようですが、監督ご自身が「ここを見てほしい」と思ったりこだわったりした部分はどこでしょうか? 例えば「泣かせたい」と思って作っていらしたのか、とか。

上田 あー、えーとね、「こういうメッセージを受け取ってほしい」とか「こういう風に感じてほしい」ってのはないんですよ(笑)。メッセージとかテーマとかじゃなくて、とにかく面白い映画、とにかく愉快で痛快な映画を作ろうと。むしろ「泣かせないぞ」と思って作ったんです。お涙頂戴とか湿っぽいシーンはもう一切排して、とにかく愉快痛快な映画を作ろうと思って作ったので、「笑った」という感想はすごくうれしかったんですけれど、「泣いた」とか「感動した」という感想が多いのは想定外のうれしさですね。

(インタビュー後編へ続く)

監督インタビュー《後編》 ホームレス生活から超ヒットメーカーに!その成功の舞台裏にあったものは…!?

今回の『カメラを止めるな!』大ヒット以前には、さまざまな失敗、しくじりをしでかして、ホームレス生活まで経験したといういう上田監督。インタビュー後半では、そんな上田監督がどうやって現在の成功をつかんだのかについて直撃してみた!

──プロフィールを拝見していますと、波乱万丈の20代という印象ですが、ご自身で振り返って、いちばんの大きな失敗というと何が思い浮かびますか?

上田 いくつもあるんですけど、20代じゃなくて17歳の、高校2年生の夏休みにですね、手作りイカダで琵琶湖を横断しようとして遭難したというのがありますね。高2の夏に「何かでかいことをしないと」と理由不明の思いにかられまして(笑)。仲の良かった3人で手作りイカダに乗って横断を始めたんですが、琵琶湖ってほとんど海ですから。夜は1メートル以上の波が来ますし、イカダがまったく前に進まなくなって、どんどんイカダも壊れてきて……遭難しました(笑)。NHKで行方不明と報道されて……。

──報道沙汰にまで!?(笑)

上田 いや、もう大変なことに(笑)。携帯の電波が1本だけ立ってたんでレスキューに電話して、琵琶湖全域にパトカーが出動して、ヘリも飛んで。

──その事件が、奥様との出会いのきっかけになったとも伺ったのですが?

上田 出会い……というか、妻がそのことを書いたボクのブログを読んで、この人と結婚したいと思った、ということですね。この人のDNAが欲しい、って言ってたのかな?(笑) 妻も映画監督をしている人間で、なんというかな……レールに乗った人生とかじゃなくて、この人といると楽しいだろうなと思った、と言ってくれていますね。

──それ以降もホームレス生活になられたり大変な人生ですが、そこからの復活劇といいますか、どうやって盛り返されたのかをお聞きしても?

上田 どうやって? うーん……マルチ商法みたいなのに引っかかって200万ぐらい借金したり、小説を出そうとしてまた200万ぐらい借金して(※1)、代々木公園でホームレスをする羽目になったんですけど、そのときはほんとにお金なくて。喫茶店とかで大量にガムシロップをもらってきて、そのガムシロップの糖分で生き永らえたりした時期もありました(笑)。そこから……22歳から24歳ごろまで、小説もまったく売れなくて、カフェバーやろうとしたこともありましたけど、それもダメで……。何か別のことで売れて、映画監督になろうとしていたんですよ。

──ふむふむ。

上田 なんか近道をしようとして遠回りばっかりしていて。映画ひと筋で結果を残せなかったら、自分に才能がないってバレるじゃないですか。だから映画に絞って勝負することが怖かったのかなと、今となっては思うときがあるんですけどね。でも24歳のときに、映画ひと筋でやろうと覚悟を決めて、そこからはバイトをしながら……5、6年ぐらいですかね。週5でバイトをしながら、自分の映画制作団体で自主制作映画を作って、今、ですね。

──ひと筋になろうとしたのが成功のポイント、ということでしょうか?

上田 そうですね。熱量を向ける方向をずっと間違っていたんですよ(笑)。映画を撮りたいのに、映画にその熱量を向けていなかったんですね。それを映画に向けてやったら、うまくいきだしたというのと……あとまあ、妻と出会ったことも大きいかもしれないです。いまはまだ、まともにしゃべれる人って感じがするかもしれないんですけど、昔はほんとにイタイやつだったんで(笑)。

──痛かった?(笑)

上田 はい。もう、ものすごい暑苦しいポジティブ野郎というかですね(笑)。それが妻と出会って、バランスが取れたというのも大きいかもしれないです。

──そういえば、映画の中では女性キャラクターがたいへん印象的で、過去作の短編でも女性キャラクターがキーマン的に描かれているのが多いのですが、そのあたりも奥様の影響や、監督の女性観のようなものが関係しているんでしょうか?

上田 それはボクもね、何本か作ったあとに気付きましたね。短編も長編も、だいたい情けない男と、それを支える女性の話だなと。それは……なんですかね?(笑) なぜかそうなっちゃうんですよ。あとよくあるのは、娘に嫌われたくない父親の話だったりもするんです。まあひとつは、強い女性が好きなのかもしれないですね。あと主人公が情けなくて、不器用なおっちゃんが好きなんですよ。不器用なおっさんフェチなんですよ(笑)。不器用なおっさんがあたふたあわあわして、周りのアクの強い曲者たちに振り回されて、そのおっさんを支えるのに強い女性が必要なんです。でも、いちばん最初の短編までさかのぼると、その女性像もなんか(ドラえもんに登場する)しずかちゃんみたいな、男性の理想の女性みたいな感じで。

──初期のころは好みが違う?

上田 初期のころは、リアリティを伴っていなかったんですよ。それが妻と付き合ったり結婚して、脚本を妻に見てもらうようになってから、女性にリアリティが伴うようになってきたというのはありますね。

──じゃあ『カメ止め』女性陣のリアリティ部分に関しては……。

上田 はい、チェックしてもらっています(笑)。リアリティとか衣装とか髪型とかは、もう妻に全部任せていると言っていいレベルですね。

──映画の衣装担当も、奥様がやられてるんですね?

上田 やっています。同じ歳ぐらいの若い女性がふたりいた場合に、キャラをしっかり分けて描かないとわからなくなるじゃないですか。だからこっちの子はお団子ヘアで、こっちの子は眼鏡をかけさせたほうがいいとか、女性はこんなシチュエーションでこんなことは言わないよとか、男にはわからないことをチェックしてもらっています。

──なるほど。ちなみに奥様を今回の映画のキャラクターに当てはめると、誰がいちばん近いですか?

上田 あー、それは初めて訊かれましたな。まあ、奥さん。しゅはまさん(しゅはまはるみ/監督の妻・日暮晴美役)じゃないですか?

──あの「ぽん!」の?(※2)

上田 ぽん姉さんじゃないですかねえ(笑)。でも、意識しているわけじゃないですけど、自分とか自分の身近にいる人を、登場人物に振り分けて描いているというのはありますね。だからどれも自分みたいな。

──なるほど。本日はお時間を割いていただきありがとうございました。今後の活躍を期待しています。

※1)『ドーナツの穴の向こう側』。18歳の女子高生あやねが、父親の死を機に入り込む、日常と少しだけずれた摩訶不思議な世界を描いたSF小説。文芸社より自費出版されるが現在は絶版。しかし2018年11月24日に、星海社より新装版として再販された。

※2)映画のネタバレになるため詳しくは書けないが、しゅはまさんが演じる晴美の印象的なセリフ。その際の動きもあわせて必見。

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イントロダクション

ほかに類を見ない緻密な構造で作り上げた37分ワンカット・ゾンビサバイバル!
東京2館での公開から、国内&海外映画祭での評判やSNSなどで口コミが広がり、
 日本全国47都道府県で感染上映され、最終340館30億円の大ヒット!!
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Filmarks 2018年上半期映画ランキング満足度NO.1邦画部門1位!
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ストーリー

とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。そんな中、撮影隊に本物のゾンビが襲いかかる!大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。“37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイバル!”―――を撮ったヤツらの話。

キャスト&スタッフ

キャスト

  • 濱津隆之
  • 真魚
  • しゅはまはるみ
  • 長屋和彰
  • 細井学
  • 市原洋
  • 山﨑俊太郎
  • 大沢真一郎
  • 竹原芳子
  • 浅森咲希奈
  • 吉田美紀
  • 合田純奈
  • 秋山ゆずき

スタッフ

  • 監督・脚本・編集 :上田慎一郎
  • 撮影:曽根剛
  • 録音:古茂田耕吉
  • 助監督:中泉裕矢
  • 特殊造形・メイク:下畑和秀
  • ヘアメイク:平林純子
  • 制作:吉田幸之助
  • 主題歌:「Keep Rolling」
  • 歌:謙遜ラヴァーズ feat.山本真由美
  • 音楽:鈴木伸宏&伊藤翔磨 永井カイル
  • アソシエイトプロデューサー:児玉健太郎 牟田浩二
  • プロデューサー:市橋浩治

リリース情報

カメラを止めるな!(DVD)

2018/12/5レンタル開始

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※掲載のジャケットは変更になる場合があります。